園名の「アソカ」は、もともとはサンスクリット(古代インドの標準文章語句)です。

したがって、園名を時折「asoka」と表記することがありますが、サンスクリットでは「a」は否定を意味し「soka」は憂いを意味することから、中国では「無憂」と意訳されています。

またインドにはこの花の名を冠する「アソカ樹」という樹があります。花は鮮やかな赤色で、人目をよくひき、インドの文学にはしばしば登場して瑞兆(めでたいきざし)を現します。

これはお釈迦さまの生母マーヤー夫人が出産のために生家に帰る途中、ルンビニ-園のこの樹の下でお釈迦さまを出産されたと伝えられていますが、その時の出産が安産であったことから「アソカ(憂いのない)樹」の名が生じたといわれています。

このことから、園名の「アソカ」は「憂いのない」という意味を転じて「仏さまの庭(世界)」ということを象徴的に表しています。

「縁あって、仏さまの庭に集う子どもたち」の「いのちの芽を育む」ことを建園の願いとして、昭和27(1952)年2月に開設して以来、本園は2000名以上の園児を送り出して今日に至っています。


阿輸迦樹(アシュカジュ)asoka

豆科に属す。(Jonesia Asoka,roxb.又はSaraca Indica,L.)漢字音にて阿叔迦・阿戌迦・阿舒迦等に作り、無憂樹と訳す。印度ヒマラヤ山地方(山麓より二千尺の高所に及ぶ)セーロン、マレー半島等に分布す。樹幹直立、長大ならず。葉は槐に似て羽状複葉長さ三寸及至六七寸、葷性にして剛直なり。花は總状に密集して開き、大きさ二三寸、赤色の花瓣はよく人目をひく。果実は楕円形の朔をなし、長さ七八寸、中に大なる種子七八個を畜ふ。佛、嵐毘尼園に於いて此樹下にて降生し給ふといふ。慧苑音義下に「畢洛叉樹は或いは畢利叉ともいひ、此に高顯といふ、謂く佛、下に於いて降誕す」とせるは別に畢利叉樹(Prikka,Trigonella Corniculata,L.)あり、阿輸迦樹に類似せるによりて此説起こりしなるべし。

龍谷大学編纂 『佛教大辞彙』第一巻 三十四頁