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新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルスとは
連日、新型コロナウイルスについて報じられていますが、コロナウイルスとはいったいどんなものなのでしょうか。
コロナウイルスは球体で突起がいくつもついている形から、「王冠」を意味するコロナという名前がつきました。
これまでのコロナウイルスは、風邪の原因になるありふれたウイルスでしたが、それが今回変異、つまり性質が変わってしまった結果、どのような治療をすれば良いか専門家も戸惑っているため大騒ぎとなっているのです。
ウイルスと細菌はよく混同されますが、実は違います。
細菌は、細胞膜に覆われ自力で分裂して仲間を増やすことができます。
抗生物質は、細菌の細胞膜を破壊するので細菌に効果があります。
ところがウイルスには細胞がなく、自分で分裂することもありません。
遺伝子がタンパク質でくるまれただけのものであることから、ウイルスを生き物(生物)とは考えていない専門家がたくさんいます。
よくウイルスが「死んだ」とか「生きている」という言い方がされますが、正しくは「死んだ=不活性化」、「生きている=活性化」という表現をします。
ウイルスは単独では活性化することができず、そのままては間もなく不活性化してしまいます。
そのため別の生物に取り付き、細胞の中に入り込んで細胞を支配します。
その上で、細胞のエネルギーを勝手に使って、自分のコピーを作らせます。
大量のコピーを作らせるので、このときコピーミスが多くなります。
このコピーミスが「ウイルスの変異」と呼ばれるもので、いわゆる「新型」になります。
ウイルスが増殖すると、細胞は力尽きて死んでしまいます。
今回の新型コロナウイルスは、肺の細胞に取り付いて細胞を次々に死滅させるため、炎症が起きて肺炎になります。
インフルエンザウイルスは、正体がよく分かっているので、予防のためのワクチンや治療のための抗ウイルス薬(タミフルやリレンザなど)が開発されていますが、今回の新型コロナウイルスは、まだそこまで対策ができていません。
となると、大事なのは「免疫力」です。
免疫力とは、ウイルスなどの病気に打ち勝つ力のことです。
ウイルスは熱に弱いので、人間の体はウイルスをやっつけるために38℃以上の熱を出しますが、これが「発熱」です。
つまり、発熱することでウイルスを不活性化しようといるというわけです。
一般に若い人は免疫力が強いので、感染しても重症化する人は少ないのですが、高齢者や持病のある人は重症化する危険かあります。
いたずらに恐れるのではなく、まずはウイルスのことを正しく知って適切な対応に努めることが大切です。

新型肺炎の症状
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のおもな症状は、以下のようなものが確認されています。
•発熱
•全身倦怠感
•乾いた咳
•呼吸困難(入院患者など重症例)
•<そのほか>上記以外にも、のどの痛み、鼻水、嘔吐や下痢など消火器系の症状、筋肉痛などを訴えることもあるようです。

新型コロナウイルスの潜伏期間
現時点では調査中ですが、世界保健機構(WHO)によると、潜伏期間は1~12.5日(多くは5~6日)とされ、他のコロナウイルスの情報などから、感染者は14日間の健康状態の観察が推奨されています。
なお、初期症状が軽い人や無症状とみられる患者もいることから、感染しているかどうかの見分けがつきにくいケースもありますが、通常、肺炎などを起こすウイルス感染症の場合、強い症状が表れる時期にほかの人へウイルスを感染させるリスクがもっとも高くなると言われています。

新型コロナウイルスの感染経路
コロナウイルスは、ヒトや動物の間で感染症を引き起こすウイルスですが、「動物からヒト」あるいは「動物から別の種の動物」へ感染することはほとんどありません。
しかし例外もあり、それが過去に大流行したSARSやMERSです。
SARSはコウモリからヒトへ、MERSはヒトコブラクダからヒトへと感染。
さらにそれがヒトからヒトへと感染していきました。
どちらも感染者の中に、1人から10数人に感染を広げる「スーパー・スプレッダー」がいたことが感染を広げました。
新型コロナウイルスの感染源は明らかではありませんが、おもな感染経路は「飛沫感染」「接触感染」と考えられています。
• 飛沫感染……感染した人が咳やくしゃみをしたときにウイルスが飛び散り、周囲の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込み、体内に入ることで感染する。
※主な感染場所 学校、職場、満員電車など、人が多い場所
• 接触感染……感染した人の咳やくしゃみ、またはそれらが付いた手で触れることで身の回りのものにウイルスが付着し、それを健康な人が触り、その手で目や口、鼻を触ることでウイルスが体内に入って感染する。
※主な感染場所 ドアノブ、手すり、つり革、スイッチなど

新型コロナウイルス感染症の予防対策
現在の状況ではわかっていないことも多いですが、インフルエンザや風邪などと同様に、手洗い、マスクの着用(咳エチケット)、アルコール消毒などの感染症対策が重要です。

●マスクの着用(咳エチケット)
咳やくしゃみで周囲にウイルスを拡散したり、飛び散ったウイルスを吸い込む「飛沫感染」のリスクをおさえられます。咳や発熱がある人はマスクをするのがエチケット。マスクは取扱説明書のとおりにつけ、鼻からあごまで覆ってすきまがないように着用します。

<屋外でのマスクの効果は?>

一般に屋内、電車・バスなど換気が不十分な場所では、マスクも感染予防策のひとつとなりますが、屋外ではマスク着用の効果はあまり認められていません。それよりも、感染の可能性が高い場所に行かない、手洗いの徹底、アルコール消毒といった感染予防策を取りましょう。

手洗いを徹底する
ウイルスが付着した手で口や鼻に触れて起こる「接触感染」の予防につながります。外から帰ったら流水と石鹸で丁寧に手を洗い、清潔に保つようにします。さらなる対策として、手洗い後に手指消毒用のアルコールを使うのもよいでしょう。

60%以上の高濃度アルコールで身の回りを除菌・消毒する(環境消毒)
コロナウイルスは「エンベロープ」という脂質やたんぱく質からできた膜をもっています。
一般的にエンベロープのあるウイルスには、アルコール消毒が有効であると考えられているので、身の回りを消毒しておくとよいでしょう。
※ エンベロープウイルスの代表例:新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エボラウイルス など
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、<アルコール消毒には60%以上の高濃度アルコールが推奨>されています。
自宅やオフィスの消毒には、アルコール濃度60%以上の除菌効果のある除菌スプレーや除菌シートを使って、手でよく触るドアノブやテーブル、リモコン、電気のスイッチなどをこまめに拭いて除菌・消毒をしておくとよいでしょう。
持続効果のあるアルコール除菌スプレーを使えば、除菌効果が長持ちし、感染リスクをおさえることができます。
新型コロナウイルスについては、その特徴や有効な治療方法などわかっていないことも多いです。
最新情報をチェックしながら、できることからはじめることが大切です。

新型肺炎の治療方法
治療方法は現時点ではわかっておらず、有効な治療薬やワクチンもないため、感染した場合は対症療法で治療するしかありません。
現時点では致死率は2~3%程度と推測されていますが、今後の患者数の増加によって変わる可能性があります。

 

新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低い理由

非常事態宣言が解除されてから東京都を中心に新型コロナウイルスの検査で陽性と判明する人が増加しています。
ただ、無症状者や軽症者が多く、また、2月から現在までの5カ月余りの間に日本で新型コロナにより亡くなった人は1000人未満で、例年のインフルエンザ死亡の3分の1にとどまり、新型コロナウイルスの流行当初の予測や欧米の被害実態とも大きなギャップがあります。
国際医療福祉大学の高橋泰教授は、新型コロナの臨床に関わる論文から仮説を立て、公表データを使い、事実に基づいたわかりやすい「感染7段階モデル」を作成しておられます。
高橋教授は、このモデルを示すことによって、新型コロナの特性を説明し、適切な対策をとるための議論を活発化したいと語っておられます。
新型コロナウイルスについては、「新型」ということもあって不明な点が多く、そのため情報が錯綜し、多くの人が言いようのない漠然とした不安に包まれ、憂鬱な日々を送っている感がします。髙橋教授の提言は、とても興味深い内容なので、その質疑応答の記事を紹介します。

新型コロナとインフルエンザには大きな違い

Q: 足元では新型コロナウイルスの流行再拡大の不安が広がっています。「10万人死ぬ」といった予測も流布していますが、先生はそうした見方を否定していますね。
A:
 発表されている数字はあくまでもPCR検査で判明した「PCR陽性者判明数」であり、正確には「感染者数」ではありません。
もちろん「発症者数」でもありません。
特に若年者の場合、PCR陽性者が発症する可能性は低く、多くが無症状・軽微な症状で治ってしまいます。
また「数十万人が死ぬ」といった予測は、新型コロナウイルスについての前提が間違っていると考えています。

Q: ではその辺りの説明と、作成された新型コロナの「感染7段階モデル」の狙いを教えてください。
A: 新型コロナは、全国民の関心事ながら「木を見て森を見ず」の状態で全体像が見えてきません。
そこで、ファクト(事実)を基に、全体像が見通せ、かつ数値化できるモデルを作ろうと思いました。
それが「感染7段階モデル」です。
新型コロナの感染ステージを「Stage0」から「Stage6」までの7段階に分けて、それぞれに至る確率やそれに関わる要因を見える化したものです。
新型コロナウイルスは、初期から中盤までは、暴露力(体内に入り込む力)は強いのですが、伝染力と毒性は弱く、かかっても多くの場合は無症状か風邪の症状程度で終わるおとなしいウイルスです。
しかし、1万~2.5万人に1人程度という非常に低い確率ではあるのですが、「サイトカイン・ストーム」や「血栓形成」という状況を引き起こし、肺を中心に多臓器の重篤な障害により高齢者を中心に罹患者を死に至らせてしまいます。
このウイルスの性質の特徴は、自身が繁殖するために人体に発見されないように毒性が弱くなっていることです。
したがって、一定量増殖しないと人体の側に対抗するための抗体ができません。
そして、まれに宿主となる人体の免疫を狂わせ殺してしまうこともあります。
日本も含めた各国でそれぞれ数十万人死亡するというような、当初流布された予想は大きく外れました。
その原因は、インフルエンザをベースとしたモデルを使っているためだと思われます。
コロナとインフルエンザの2つのウイルスには、大きな違いがあります。

Q: 新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの違いをご説明ください。
A: 病原体が体内に入ると、まず貪食細胞(マクロファージ)などを中心とする自然免疫が働きます。
次に、数日かかって獲得免疫が動き出し、抗体ができます。

(注)
自然免疫
: 侵入してきた病原体を感知し排除しようとする生体の仕組み。
外敵への攻撃能力はあまり高くないが、常時体内を巡回している警察官に相当する。
獲得免疫:病原体を他のものと区別して見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会ったときに効果的に排除する仕組み。
1種類の外敵にしか対応しないが殺傷能力の高い抗体というミサイルで敵を殲滅する軍隊に相当する。

インフルエンザの場合は、ウイルス自体の毒性が強く、すぐに、鼻汁、咳、筋肉痛、熱と明らかな症状が出ます。
ウイルスが体内で暴れまくるので、生体(人の体)はすぐに抗体、いわば軍隊の発動を命令し、発症後2日~1週間で獲得免疫が立ち上がり、抗体ができてきます。
よって、抗体検査を行えば、ほぼ全ケースで「陽性」となります。
多くのケースにおいて生体側が獲得免疫で抑え込み、1週間~10日の短期で治癒しますが、抑え込みに失敗すると肺炎が広がり、死に至ることもあります。

毒性が弱いので獲得免疫がなかなか立ち上がらない

新型コロナはどうかというと、今年5月6日のJAMA Published online(The Journal of the American Medical Association、『アメリカ医師会雑誌』)に発表された「新型コロナの診断テストの解釈」という論文に、新型コロナは抗体の発動が非常に遅いことが報告されました。
私の研究チームはこの現象を、新型コロナは毒性が弱いため、生体が抗体を出すほどの外敵ではなく自然免疫での処理で十分と判断しているのではないかと解釈し、「なかなか獲得免疫が動き出さないが、その間に自然免疫が新型コロナを処理してしまい、治ってしまうことが多い」という仮説を立てました。
こうした仮説で想定した状態が実際に存在するなら、この時期の人は無症状または風邪のような症状であり、自身が新型コロナに感染したという自覚がないうちに治ってしまいます。
もしこの時期にPCR検査を行えれば、新型コロナは体にいるのでPCR陽性となることもあります。
一方、まだ抗体はできていないので、抗体検査を行えば当然「陰性」となります。
そして、その後、症状が進んで獲得免疫が発動しても新型コロナを抑え込めなかったごく一部の人でサイトカイン・ストームが起きてしまい、死に至ることもあるのです。

(注)
サイトカイン・ストーム:免疫システムの暴走。
免疫細胞の制御ができなくなり、正常な細胞まで免疫が攻撃して死に至ることもある。


Q: 第2波が来たら日本は脆弱だという見方も根強くあります。
A: 抗体検査を行ったところ、ロンドンで16.7%、ニューヨークは12.3%、東京が0.1%でした。
これをインフルエンザと同じような感染症モデルで考えると、「東京では感染防止は完璧だったが、抗体を持つ人が少ないので、次に防御に失敗したら多くの死者が出る」という解釈になりますが、このような解釈には、強い疑義を持つ必要があります。
日本は強力なロックダウンを実施しておらず、新型コロナに暴露した人が欧米より極端に少ないとは考えにくいのです。
むしろ先に述べた「これまで多くの人が新型コロナにすでに感染しているが、自然免疫でほとんどの人が治っている」という仮説に立って、抗体ができる前に治っているので、抗体陽性者が少ないと考えるほうが自然です。
この仮説を用いれば、無症状のPCR陽性者が数多く発生している現状の説明もできます。
第2波が来ても、自然免疫の強さは日本人にとって強い助けとなり、再び欧米より被害が軽くなるという考え方が成り立つのです。

■日本では暴露した人が多いが自然免疫で98%治癒

Q: 「感染7段階モデル」により新型コロナの感染や症状に関わる要因を数値化してみたということですね。
A: 新型コロナの患者数を予測するために使えるデータが現状では非常に限られます。
かかった人の重症化率や死亡率という最も基本的なデータすらありません。
新型コロナの全体像を把握するためには、全国の暴露者数を推計することが大切なので、
①全国民1億2644万人
②年代別患者数の実数値
③抗体陽性率推計値(東京大学の推計と神戸市民病院の推計)
を使って、パラメータである暴露率(新型コロナが体内に入る率)をいくつか設定し、動かしながら、実際の重症者や死亡者のデータに当てはまりのよいものを探るシミュレーションを行いました。

シミュレーションの結果の概略

まず、国民の少なくとも3割程度がすでに新型コロナの暴露を経験したとみられます。
暴露率はいろいろやってみましたが、30~45%が妥当でしょう。
そして、暴露した人の98%がステージ1かステージ2、すなわち無症状か風邪の症状で済みます。
すなわち自然免疫までで終了するのです。
獲得免疫が出動(抗体が陽性になる)するステージ3、ステージ4に至る人は暴露者の2%程度で、そのうち、サイトカイン・ストームが発生して重症化するステージ5に進む人は、20代では暴露した人10万人中5人、30~59歳では同1万人中3人、60~69歳では同1000人中1.5人、70歳以上では同1000人中3人程度ということになりました。
あくまでもデータが限られる中での大ざっぱなシミュレーションですが、今後、データがもっと明らかになれば精緻化できます。

Q: 欧米との死者数の違いに大きな関心が寄せられています。
A: 日本の死者数が欧米の100分の1であることについて、以下のような3つの要因の差という仮説で試算を試みました。
第1に暴露率。
日本の場合、重症化しやすい「高齢者の暴露率」が低かったのが効いたのではないでしょうか。
例えば、特別養護老人ホームではインフルエンザやノロウイルスの流行する季節は家族の面会も禁じていますし、これらウイルスに対する対策も取られています。
高齢者の外出自粛など自発的な隔離も積極的に行われました。
他方、海外では介護施設や老人ホームのクラスター化による死者数が多数です。
「高齢者の暴露率」は日本が10%、欧米が40%と設定してみました。

自然免疫力のわずかな差が大きな違いを生む

第2に自然免疫力。
自然免疫で治る人の比率が欧米より日本人(アジア人)のほうが高く、その結果「軽症以上の発症比率」が低くなりますが、抗体陽性率も低くなります。
自然免疫力(特に細胞性免疫)の強化にBCGの日本株とロシア株が関与した可能性が高いとみています。
「(暴露した人の)軽症以上の発症比率」については、自然免疫力が標準分布と仮定し、シミュレーションの結果を当てはめると、自然免疫で処理できる率が日本人は98%で、対応できないのは2%ということになります。
日本では、新型コロナにかかった人が次の人にうつしても、その大半が自然免疫で処理され、次の人への感染につながりません。
すなわち新型コロナ感染のチェーンが切れやすいのです。
よほど多くの人に暴露を行わないと、そこで感染が途切れる可能性が高いといえます。
一方、抗体陽性率から考えると欧米では自然免疫で対応できずしっかり発症する人が、日本よりもはるかに多いと考えられるので、「軽症以上の発症比率」を日本の5倍の10%と想定しました。
日本と欧米の自然免疫力の差をそれぞれ2%と20%と想定すると、両者の差はわずかに見えるかもしれませんが、このわずかな差が欧米と日本の新型コロナ被害の大きな差を生んだ可能性が高いのです。
欧米では感染後、しっかり発症して他の人にうつす「再生産確率」が高いため、日本と比べて感染スピードが速く、かつ感染拡大のチェーンが途切れないということになります。

第3は「発症者死亡率」。
日本は欧米に比べて低いと考えられます。
その理由としては、欧米人に比べて血栓ができにくいのでサイトカイン・ストームが起きても、日本のほうが重症化する可能性が低いと考えられるのです。
「発症者死亡率」は、日本では0~69歳で0.01%、40歳以上では40倍の0.4%ですが、欧州は0~69歳で0.05%、70歳以上が2%としました。
他の条件は変わらないという前提で、このような数字を設定すると、10万人当たり日本の死亡者は0.9人、ベルギーの死亡者は82人となり、現在の実態とほぼ一致します。
「暴露率、軽症以上の発症比率、発症者死亡率の数字の設定はもちろん仮説的なものであり信頼性は低いかもしれませんが、全部の数字を掛けたり足したりして求められる日本の死亡率が、欧米の死亡率の100分の1になる必要があるので、3要因のいずれか、またはすべてにおいて、日本が欧米に大きく勝っていることは間違いありません。

■死者は最大で3800人、検査ではなく重症化対策が必要

Q: 緊急事態宣言の解除後は「感染者数」、正確には検査でPCR陽性とわかった人の数ですが、増えています。
しかし、自然免疫で98%も治るとすれば、とるべき対策は違ってきますね。
A:PCR検査でどこから見ても元気な人を捕捉することには大きな問題があると考えています。
PCR検査はコロナウイルスの遺伝子を探すものなので、体内に入って自然免疫で叩かれてしまい他の人にうつす危険性のないウイルスの死骸でも陽性になってしまいますし、発症の可能性がゼロに近い抗体陽性者でも、再度新型コロナウイルスが体内に入った時点で検査を行えば陽性になります。
また、新型コロナウイルスにとって東京は人口密度が高く、そうした中でもいわゆる3密を形成するような、ウイルスが生き延びるための条件が揃う場所が多くありますが、地方ではそうした条件の揃う環境は少なく、もし感染したとしても、人が密集していないと98%は自然免疫で処理されるので、次の人にうつしていくチェーンがすぐ途切れてしまいます。

Q: 7月15日、東京都は警戒レベルを最高に引き上げました。しかし、怖くなってまた活動制限を行うことは適切ではないということですね。
A: 日本ではこれまでのところ、人口10万人に対し0.8人が亡くなっています。われわれは自然免疫の存在を重視しており、それを前提としたシミュレーションでは、新型コロナウイルスが現状の性格を維持する限り、どんなに広がっても10万人中3人以上、つまり全国で3800人以上死ぬことはなさそうだというのが、結論の一つです。
一方、人口10万人に対して16人、全国で2万人強が自殺で亡くなっているという事実があります。
過去に景気が悪化したときは、連年3万人を超えて10万人当たり24人になりました。
そうであれば、10万人対比で見て、新型コロナによって2人亡くなるのを防ぐために、景気悪化で8人の死者を増やすのかということになります。そろそろ、対策のメリットとデメリットのバランスを考えないといけないのではないでしょうか。
さらに、ステイホームの奨励によって肥満の人が増えると、ACE2受容体が増加し、新型コロナの感染リスクも血栓形成のリスクも高まります。
社会活動の停止で暴露率は下がっても、感染率や重症化率が上がるということです。そうしたバランスも考える必要があるのではないでしょうか。

(注)ACE2受容体

新型コロナウイルスのスパイクと結びついて、細胞の中に取り込んでしまい、感染が成立する。
子どもにはほとんどなく、年齢が上がると増える。また、高血圧や糖尿病でも数が増える。


Q: 年齢やリスクに応じた対策を打つべきだということになります。
A: 30歳未満では重症化リスクは限りなくゼロに近いのに、対面授業を行わないとかスポーツをさせないというのは誤った政策だと思います。
対面での教育が行われず、オンライン教育のみにすることの弊害のほうがずっと大きいので、平常に戻すべきです。
そして、重要なことは、そこで学生からPCR陽性者が出てもマスコミが騒がないことです。明らかな症状が複数の学生に現われる集団発生が起きてはじめて報道を行い、インフルエンザのように学級閉鎖を行えばいいのではないでしょうか。
30~59歳も通常の経済活動を行ってよいはずです。
罹患した場合は症状に応じて自宅待機などを行い、集団発生すれば職場の閉鎖をすればよいのです。
70歳以上の高齢者は、流行している間は隔離的な生活を維持せざるをえないでしょう。
何度も言いますが、感染リスクはありますしかし、2%未満の重症化リスクを減らせばいいのです。

感染パターンを注視しつつ、社会活動は続けるべき

Q: すでに東京都の7月15日の会議では、PCR陽性で無症状や軽症の人を入院させているため病床が逼迫しつつあると報告されています。
A: 肺炎や呼吸困難といった兆候が認められなければ宿泊所、無症状・軽症なら自宅待機といった変更が必要で、老齢者の施設等の対策に重点を置くべきです。

Q: 先ほど「ウイルスの性格が変わらなければ」という条件付きでお話しされました。そこは、いかがでしょうか。
A:
 第2波が来たと判断したら、最初にやるべきはPCR検査の拡大ではなく、ウイルスの遺伝子解析です。従来と同じ型のものなのか、違うものが来たのかを判別することが重要です。
つまり、感染者を捕まえて隔離することより、感染パターンを把握することが重要なのです。感染力が上がったのか、毒性が強まって死亡率が上昇するのか。それに応じて対策も変わります。
感染7段階モデルのようなものを作っておくと、そうした議論をすることが可能になると考えています。

2歳未満の子供にマスク着用は「危ない」

日本小児科医会は、公式ページにて「小児科医会からのメッセージ」を掲載し、その中で「乳児のマスク使用ではとても心配なことがあります」と呼びかけ、「2歳未満の子供にはマスクは不要」であるという見解を発表しています。
乳児は呼吸器の空気の通り道が狭く、マスクを着用することで呼吸がしにくくなり、心臓への負担にも繋がってしまうそうです。
また、乳児は吐き戻しも多いため「嘔吐物による窒息のリスク」も高まるとも指摘しています。
気温が上昇するこれからの季節は、「マスクによって熱がこもり熱中症のリスクが高まる」ことも懸念され、「顔色や口唇色、表情の変化など、体調異変への気づきが遅れる」という事態も起こりかねないと注意を喚起しています。
小児科医会は、世界の症例から分かってきたこととして、世界の新型コロナウイルス小児感染症から、「子供が感染することは少なく、ほとんどが同居する家族からの感染」であることが分かってきていることも発表しています。
さらに「子供の重症例はきわめて少ない」とされ、「学校、幼稚園や保育所におけるクラスター(集団)発生はほとんどない」と述べています。

京大教授「日本人はコロナを克服。年末に終焉」説の論拠

9月10日現在、新型コロナウイルスの世界での感染者数は27,738,179人、死亡者数は、899,916人。日本国内での累計感染者数は74,038人で死亡者数は1,418人です。。

世界各国は日本の新型コロナウイルスの感染者数や重症者数、死者数の少なさに困惑し、「ファクターX(ファクターXとは未知の要因のこと。対策の効果や、文化の違い、衛生意識、遺伝的要因、過去の感染など)」を探していました。
この問題について、京都大学大学院特定教授の上久保靖彦氏によれば「世界中で新型コロナウイルスのワクチン開発が進んでいますが、すでに日本人はワクチンを打っているのと同じ状態にあります。いま、無症状の陽性者が増えているのも、彼らは“自らの免疫ですでに新型コロナに打ち克っている人たち”なんです」と述べておられます。
小池百合子都知事が9月4日「感染者数が再び増加に転じないよう厳重な警戒が必要」と発言するなど新型コロナ脅威論は根強くあります。けれども上久保教授は「新型コロナの脅威は終わった」と断言されます。

第二波の被害は第一波を上回る──それがこれまでの感染症の常識でした。1918年に日本を襲ったスペインかぜでは、第二波の死亡率が第一波の4倍以上に跳ね上がりました。1857年のアジアインフルエンザ2009年の新型インフルエンザも第二波の感染者数は第一波を上回りました。
だが新型コロナは異なります。PCR検査の増加に伴って第二波の陽性者は増えましたが、致死率や重症化率は大幅に減少。国立感染症研究所が推計した第一波の5月と、第二波の8月の致死率を見ると、全年齢で8月は5月より6.3ポイント低い0.9%で、重症化が心配される70才以上では、8月は5月より17.4ポイントも低い8.1%でした。
そもそも日本の被害は、世界と比べて圧倒的に少なく、アメリカの感染者630万人、死者18万人、医療崩壊を起こしたイタリアの感染者27万人、死者3万5000人に対し、日本は感染者7万人余り、死者1400人余りです。
なぜ日本だけが少ないのか。──その要因は「ファクターX」として世界中から注目されました。ノーベル生理学・医学賞受賞者の山中伸弥・京都大学教授は「厚労省のクラスター対策」「マスクや入浴などの衛生意識」「BCGワクチン」などを“候補”としましたが、いまだ明確な答えは見つかっていません。
そこで注目されるのが、上久保教授が吉備国際大学の高橋淳教授と3月に発表した論文です。その内容を要約以下の通りです。
「すでに多くの日本人は免疫を獲得しているので、新型コロナを恐れる必要はない」
上久保教授は京都大学血液・腫瘍内科で感染症の臨床を学び、米国立衛生研究所(NIH)の所長のもと、遺伝子学を学びました。現在、京大では免疫学や臨床検査学の教育・研究を長年行う、遺伝子変異分野のプロ中のプロです。その上久保教授が注目したのが、新型コロナの変異とインフルエンザの流行曲線です。「新型コロナやインフルエンザのような『RNAウイルス』の周りには、細胞にくっついて影響を与える突起(スパイク)があります。そのスパイクが変異することでウイルスは伝播・増殖しやすくなります。
そこで世界中の新型コロナの変異情報を記録するデータベース『GISAID』で調べたところ、新型コロナはS型、K型、G型の順に変異していることがわかりました。S型とその変異形であるK型は“弱毒タイプ”で、G型は人間の細胞とくっつきやすいスパイクに変異した“強毒タイプ”でした」
それらのウイルスがいつ、どのように世界に広まったかを調べるために、上久保教授が注目したのが、世界各国で精緻にモニターされているインフルエンザの流行曲線です。
「インフルエンザに感染したら、コロナウイルスには感染しません。逆もまたしかりです。その逆相関関係のことを『ウイルス干渉』といいます。日本は昨年末までインフルエンザが流行していましたが、その時期に新型コロナが流入したことにより『ウイルス干渉』が起こり、インフルエンザの流行がストップしました。つまり、新型コロナの感染が拡大したということです」
各国のインフルエンザ流行曲線を調べた結果、最初に中国で発生したS型は昨年12月にはすでに日本に上陸していたことがわかりました。また、1月中旬にはK型が日本に上陸するなど中国近隣諸国にも広がっていました。
つまり、日本において新型コロナの感染や重症化がおさえられたのは、S型、引き続きK型が早期に日本に流入していたことにあるそうです。今年1月中旬に武漢滞在から帰国した男性が国内最初のコロナ感染者とされましたが、昨年末の段階で、すでに弱毒性のコロナが蔓延していたのです。
「もう1つのポイントは、1月23日に武漢が封鎖されてからも、3月8日まで中国人の渡航を制限しなかったことです。政府の方針は『対応が遅い』と批判されましたが、昨年11月から2月下旬にかけて約184万人もの中国人観光客の入国によって、S型とK型が日本中に広がりました。それにより、日本人は知らない間に『集団免疫』を獲得できました。日本人はすでに新型コロナを克服していたのです」
そもそも「免疫」とは、体内に侵入してきたウイルスや病原体に対抗する防御システムを指します。ウイルスが体内で増殖を始めると、危険を察知した免疫システムが起動して「抗体」を大量生産します。抗体はウイルスの表面にとりつき、やっつけることにより、細胞への侵入を阻止します。
抗体を持つ人が人口の50~70%を占めるようになるとウイルスが人から人へ移動できなくなり、やがて流行が終息するとされています。それが「集団免疫」です。
ちなみにワクチンとは、毒性がなくなった、もしくは弱められた病原体を体内に注入することで免疫をつける医薬品のことです。冒頭で上久保教授が述べたように、感染により免疫があるということは、ワクチンを打ったのと同様のことです。
日本人が集団免疫を獲得した後、武漢で強毒化した「武漢G型」が日本に流入し、中国・上海で発生した「欧米G型」が世界に広がりました。
「武漢G型、欧米G型は日本にも入ってきましたが、すでに日本人はS型とK型で集団免疫ができていました。G型は感染力が強く、多少の流行は生じましたが、S型とK型のコンビネーションで防御しているうち、G型の集団免疫も達成したと考えられます。そうして集団免疫を獲得できたことが、日本の被害が少なかった最大の要因です」
では欧米ではなぜ多くの被害が出たのでしょうか。「カギを握るのはK型です」と上久保教授は説明しています。「K型に感染すると免疫細胞の1つである『T細胞』が強化され、G型への防御力がアップします。しかし欧米は2月初旬に中国からの渡航を全面的に制限したため、G型に対抗するはずの弱毒のK型が充分に流入せず、強毒のG型の感染拡大を防げなかったのです。
S型は欧米に充分に流入していましたが、S型の抗体だけだと、かえってウイルスの増殖を盛んにする『抗体依存性免疫増強(ADE)』を引き起こします。欧米では、K型が入らなかったことにより、S型によってADEが起こり、重症者が増加したのです」
日本とは逆に、中国からの渡航を早めに制限したことが仇となり、あれだけの被害を招いたというわけです。ここで1つの疑問が生じます。前述の通り、コロナに感染して免疫ができたのならば、「抗体」ができるはずです。しかし、6月に厚労省が3都府県7950人に行った抗体検査では、東京都0.1%、大阪府0.17%、宮城県0.33%と、抗体を持つ人はきわめて少ないでした。これは多くの日本人がコロナに感染して集団免疫を獲得したという「上久保理論」と矛盾するように思われます。
これに対して、上久保教授は、「基準の問題です。抗体検査キットで陰性と陽性の境を決める基準を『カットオフ値』といいますが、その値はキットを作る会社が決めます。日本の場合、すでに発症して入院中の患者を基準にカットオフ値を決めたため、数値が高くなった。それにより、本来は抗体を持っている人まで『抗体なし』と判断されたと考えられます」と述べています。
抗体検査では、「IgG」という抗体値が重要です。
「ウイルスに初めて感染すると最初に『IgM』という抗体値が上がり、その後に『IgG』が上昇します。また、すでに免疫を持っている人が再感染した場合、IgGが先に上がります。すなわち、抗体検査でIgGが確認された人は、すでに感染して免疫を持っていることになります。
実際、私たちの共同研究チームが10~80代のボランティア約370人の抗体検査をしたところ、全員が新型コロナのIgGを持っていた。これはすでに全員が感染していたことを意味します。“原因がよくわからないけどちょっと体調が悪いな”と身に覚えのある人は、感染して免疫を持っている可能性が大いにあるのです」
一方で、「新型コロナの抗体は2~3か月で急激に減少する」との報告もあります。中国・重慶医科大学らの研究では、患者の退院2か月後に症状があった人の96.8%、無症状の93.3%でIgG抗体が減少しました。減少割合は半数の人で70%を超えました。
上久保教授は「抗体が減少するからこそ、ウイルスとの共存が必要」と指摘しています。「確かに抗体は時間とともに減少します。しかし一方で、一度免疫が作られると、その後に再度感染することで免疫機能が強化される『ブースター効果』が期待できます。だからこそ、時折感染して抗体値を上げ、下がったらまた感染するというサイクルを繰り返すことが重要です。ワクチンを繰り返し打つことで、免疫が強くなることと同じです。“絶対にコロナにかからない”という考え方では、免疫機能は一向に働きません」
免疫を働かせるため何度も感染すべきというのが、上久保教授の主張です。現実的にも、感染は繰り返されていると上久保教授は指摘しています。
「すでに抗体を持っている人でも“喉にたまたまウイルスがいるケース”では、PCR検査をすれば陽性になります。それがいま急増中の無症状の人たちの正体です。ウイルスは検知されたけれど、免疫を持っているからほとんど症状が出ないということ。そのため『感染者』ではなく、『陽性者』と表現した方が私は正しいと思います。一時的に微熱や喉の痛みなどの軽い症状が出るのは、免疫がウイルスと闘っているからです」
軽症や無症状が目立つ一方、コロナで重症者や死者が出ているのも事実です。
「もちろん、高齢者や基礎疾患のある人が新型コロナにかかると重症化のリスクがあります。S型やK型に感染しなかった人がいきなりG型に感染しても重症化しやすいでしょう。
また、厚労省の通達により6月18日からどのような要因による重症化や死亡でも、PCR検査が陽性なら新型コロナが要因とみなされることになりました。例えば、心筋梗塞の持病があって死亡してもたまたま陽性だったら、新型コロナ肺炎による死亡とカウントされます。そうした統計の取り方で重症者や死者が増えている面があります」
これまでインフルエンザ同様、「秋冬に新型コロナが再拡大する」と指摘されてきました。だが上久保教授は「11月に新型コロナは終息する」と語っています。
「私たちの試算では、いまのところ日本人は、S型50%、K型55%、武漢G型80%、欧米G型85%で集団免疫が成立し、このままいけば、11月にはほぼ100%の日本人が免疫を持つはずです。高齢や基礎疾患などの重症化リスクがなければ、今後亡くなる人は少なくなるでしょう」
ウイルスの変異も11月が「最終章」になります。
「新型コロナのスパイクが変異可能な数は最大で12~14で、ひと月に1回ほどの頻度です。現在、日本が検体のデータを出していないので何型まで進んでいるのかわかりませんが、S型が始まったのが昨年12月なので、今年の11月には最後の変異を終えて、その後消失し、ただのコロナウイルスになります。それはコロナウイルスのメカニズムで決まっていることなのです。年末には、新型コロナは終焉を迎えるはずです。

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