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更新日:2018年11月1日

お話をよく聞く子どもを育てる
・法話を聞いて、想像力を養い、豊かな感性を育む

一般に、私たちは「頭が良い人」=「試験の成績が良い人」と判断してしまいがちですが、決してそうではないと思います。「試験」には二つの特徴があります。一つめは、試験には答えのない問題は出ません。「正解=答え無し」ということはないのです。したがって、記憶力を働かせて、注意深く出題者の意図を探れば、出題者が隠している答えを言い当てることができます。二つめは、易しい問題、自分が答えやすい問題から解いた人が好成績を上げるということです。つまり、この二つに秀でた人が「試験の成績が良い人」という訳です。
ところが、現実の社会における問題には必ずしも答えがある訳ではありません。そのため、国の中枢にいる人達は、試験では良い点が取れたとしても、答えがあるかどうか分からない問題に直面した時にも正解を出せるかどうかは分かりませんし、難しい問題は先送りする傾向があります。現代社会の様々な問題も、そのような在り方から生じたのかもしれません。
ときに、子どもは、しばしば「遊びの天才」と形容されることがあります。確かに、遊び方の基本を教えると、それを自分で工夫して発展させたり、全く新しい遊び方を創り出したりして感心させられることがあります。でも、その一方で、時には本当に理解不能と思えるようなことをしていて、つい頭を抱えたくなってしまうようなこともあったりします。
発明王と言われるトーマス・エジソン(1847年-1931年)は、小学校1年生のとき、授業中に「1+1=2」と教えられても、それを鵜呑みにすることが出来ず、「1個の粘土と1個の粘土を合わせたら、大きな1個の粘土なのに、どうして2個なの」とか、「A(エー)はどうしてP(ピー)と言わないの」と質問したりするなど、ことあるごとに「なぜ」を連発していたと伝えられています。きっと、エジソンの質問を受けた教師は、「この子は何て変なヤツなんだ」と思ったのではないでしょうか。その結果、クラス担任からは「君の頭は腐っている」と吐き捨てられ、校長からも入学後わずか3カ月で退学を勧められ、とうとう小学校を中退してしまうことになりました。おそらく、この時には誰一人として、この「変なヤツ(エジソン)」が、将来次々と天才的な発明を世に送り出すことになるなどとは、想像することさえ出来なかったと思われます。だから、子どもが理解不能なことをして頭に来た時には、「天才はしばしば変なヤツだ、自分に理解できなくても安心しろ」とでも自身に言い聞かせると、少しは心が落ち着くような気がします。もちろん、きまりを破ったり、危険なことや他に対して迷惑をかけていたら注意をする必要がありますが、自分にない発想をしているような時は、むしろそれを認めて大切に育んでいきたいものです。
「愚者は自分の経験に基づいて判断する。賢者は人の経験を最大限に利用する」という言葉があります。これは、他人の経験を自分の経験のように追体験するということですが、その一番の具体的な方法は物語として聞くということです。子ども達は、物語を通して多くのことを追体験する中から、想像力が養われ、豊かな感性も育っていくのだと思います。